足らんティーノ

美しき諍い女(いさかいめ)の足らんティーノのレビュー・感想・評価

4.0
17世紀の娼婦・美しき諍い女を描きたいと苦悩するも創造性の衰えた老画家が、エマニュエル・ベアールの内なる真実を見出し、カンバスに描き上げる話。
日本公開時に、モザイクをかけるべきなのかどうか"ヘア論争"を巻き起こしたことでも有名。これはモザイクなしで観たかった。

デッサンモデルを演じる若きエマニュエル・ベアールの美しいヌードを拝める作品であると同時に、歳をとり創造の原動力ではなくなったジェーン・バーキンがいい役をしていて、その年の離れたふたりの静かなる諍いがお見事。

エマニュエル・ベアールと裸とタバコは素晴らしい相性だけど、個人的にはもうちょっと歳をとった時の方が色気が増してて好き。

ミシェル・ピコリが奥さんのジェーン・バーキンをアトリエに呼んで、彼女が立ち去った後に、「毅然と戦ってほしい」と言って、エマニュエル・ベアールが「美しき諍い女」に変わる瞬間。

実際の画家ベルナール・デュフールのカンバスへのタッチを、編集せずに長回しで撮影している。

赤は危険な色。

「教えてほしいんだ。この衰弱のあとに消え去って元に戻らないものが何なのか」
「すべてよ」

2023-215/字幕
足らんティーノ

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