なぜ彼は「炎上」させたか?
「太陽が眩しかったから」よろしく「美しかったから」なのか?
彼は黙秘する。何も話さない。
ラストカットのありふれた死。
美しい寺はどこにでもあり、彼の犯罪も誰でもできるこ…
登場人物たちの内面をモノクロの陰影が激しく浮かび上がらせ、観客に迫ってきます。ただただ、ヒリヒリする。
市川雷蔵演じる溝口にはもちろん鬼気迫るものを感じましたが、個人的には中村鴈治郎の住職にぐっと…
このレビューはネタバレを含みます
三島由紀夫の小説「金閣寺」を元に、細かい設定を変えて市川崑が映画化した作品。
主演の市川雷蔵といえば時代劇の大スターだけれども、この映画は現代劇。
特にメイキャップもない雷蔵(当時28歳)は普通の…
原作の、実存を賭けた病的葛藤を「もう許して」ってくらい嗅がされるあの感じが、だいぶ削ぎ落とされていて若干淋しい。でも雷蔵&仲代の見事なキャスティングと、燃える金閣のゾッとする美しさだけでも、一見の価…
>>続きを読むいや、これに限っては、絶対に小説の独白形式が良いに決まってる。そして、絶対に「金閣寺」じゃないといけないでしょうよ。主人公の内部で起る乱反射的屈折と、導き出される美への妄執が、本作では全然グッと来な…
>>続きを読む映像表現の見事さ! 回想シーンに入る境目、主人公溝口の顔のアップで背景だけが変化していくあの魔法の瞬間!淡々とした語りに合った淡白な映像表現が続くんだけど、同時に陰翳が深くて、人物の心の二面性を焼き…
>>続きを読む原作"金閣寺"三島由紀夫。音楽黛敏郎。
市川雷蔵初の現代劇。吃音の演技たるや素晴らしい。
中村鴈治郎が流れるように説く南泉斬猫の講話もたまらん…!菅原謙二も中村玉緒もおいしいな。あ、鴈治郎玉緒の親子…
溝口は何故、火をつけたのか。
周囲への反発か、驟閣寺を自分だけのものにする為か。花の師匠が、激昂して生花を投げ捨てる行為と通ずるものがあった。
驟閣寺は、変わらせない。金儲けの道具にも、朽ち果てても…