いちごあんこ

東京タワー オカンとボクと、時々、オトンのいちごあんこのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

多様な人たちが集まった東京の中で
親子の絆と命の尊さを描いたストーリー。

■ストーリー
九州から上京し自堕落な生活を送っていた青年はオカンに何度もお金を借りていた。
上京して15年経ったあるとき、オカンが癌に侵されていることを知り東京に呼び寄せて一緒に住むことになる。
すると、オカンの手料理と人柄で大勢の友達が家に集まって宴会をするようになり、みんな”オカン”と呼んで親しんだ。
病状が悪化したオカンは東京タワーが見える病院に入院した。
はじめは抗がん剤治療を始めたが、その辛さに耐えきれず治療を中止。余命は2,3か月だった。
オカンは息子が出演するラジオを聞いた翌日、青年とオトンに看取られて亡くなった。
いつか東京タワーに登ることが叶わなかった青年はオカンの位牌を持って登り、東京の街を見下ろした。

■感想
東京には本当にいろんな人がいるのだと実感する。
上京してお金がなくて生活が破綻しかけていても”東京にしがみつく”青年。
東京にはきっとそういう人も少なくないのだろう。
麻雀のロンというのが青年を表している。

オカンが最後に聞いた青年のラジオで
青年はオカンとオトンが出会った時のダンスの曲を流していたところが良かった。
オカンが亡くなった日は友達がたくさん家に集まってワイワイと宴会をした。
オカンの人望を感じさせるシーンで、自分が死んだときこうだったら嬉しいだろうなと思った。
最初は仕事がなくオカンにお金をせびっていた青年が、オカンの遺体の横で仕事をしている姿が印象的だった。
彼女は青年に、「オカンは東京のいろんなところ連れてってくれたのが親孝行だったって言っていた」と言った。
青年にとって何よりも救われる言葉だったのではないかと思った。
「オカンが死んだら開けてBOX」をあけたときは感情移入して涙腺が崩壊した。
生きているうちにできる限りの親孝行をしたいと思った。

特別な何かがあるわけではなく、
1000万人以上が暮らす東京での
ごくありふれた親子の生涯を描いたストーリーだった。

ストーリー :★★★☆☆
演   出 :★★☆☆☆
関 心 度 :★★★☆☆
メッセージ性:★★★☆☆