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圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録のeulogist2001のレビュー・感想・評価

3.4
学生運動の生の状況の一端を垣間見る。当時の政治的な姿勢、官憲のあり方も描かれている。学生たちの正義感に満ちたアツい気持ちも伝わってくる。

しかし運動そのものがひとによって成り立つものであることもわかる。それは運動の目的や思想的な根拠を越えて、感情的な軋轢や運動体そのものへの忠誠心など、別の面での政治的な側面も見えている。

そして、闘うことそのものに意義や求心力が求められていく様は、今見ても少し引いてしまう。

わたしにとっては、運動体のあり方や組織化そのものにも興味を拡げてくれる作品だった。

もちろん体制側にとっては、都合が悪いことは暴力でねじ伏せる姿勢はいつの時代も変わらない。いまは露骨にやらないだけで、より巧妙な支配下に置かれているのは間違いない。そして支配されることに慣れてくるとそれが心地よいとさえ感じるのは時代を問わず変わらない。上手に飼われることは、ラクなのだ。

革命や大きな政治転換は、思想信条への忠誠よりは、支配者が生活レベルで失政をしているときに必然として起こる。そんな気がするがどうなのだろう。
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