月うさぎ

フォレスト・ガンプ/一期一会の月うさぎのレビュー・感想・評価

4.5
フォレストにまた会いたい。そう思わせてくれる素晴らしい映画。
ジェットコースター的なスリルはないけれど、この映画は観はじめるとなぜか目が離せなくなる。
どう転がるかわからないのが人生。
Mama always said life was like a box of chocolates. You never know what you're gonna get.
この有名な台詞のままに。

フォレストは知能指数75と言われ、背骨の彎曲により矯正具がないと歩くこともままならない完全な障害児だった。
でもママはいう。
You're the same as everybody else. You are no different.

一方で人は全てdifferentでもある。そこに何の問題があるだろう?

フォレストの目を通せば世界はシンプルになる。
それはまっすぐに見ること、愛の目で見ること、信じ抜くこと。
そうすれば世界には愛すべき人があふれだす。

ゼメキス監督はその確かな腕でフォレストを愛するように私達に魔法をかけてしまう。
誰もが彼を愛し受け入れるだけではなく彼を応援し、すべてのエピソードの数々が繋ぎ合わさった時に、ついには尊敬する気持ちにさせてしまう。
ちりばめられたユーモアセンスや映像の遊び心とテクニック、そして南部を中心にしたアメリカの歴史と暮らし。
決して汚い表現はとっていないが、人種差別、貧困の問題、男女差別、障害者差別などの社会問題が取り上げられ、ベトナム戦争や大統領の暗殺や狙撃や失脚も盛り込まれていく。
ウォーターゲート事件の映像にははっとさせられた。もしかしてこれは「大統領の陰謀」のワンシーンでは?
ジョン・レノンとフォレストのテレビショーでの共演は嘘っぽすぎと思ったものの、声はジョン本人だと思ってしまった。騙された~。(ゼメキス監督の趣味投入)

フォレストは決してアメリカン・ドリームの実現者ではない。
転がる石のように生きて、チョコレートボックスのとびきりおいしい味のチョコを引き当てただけだ。
彼が本当に欲しいものは愛する人のそばにいること。

フォレストはドストエフスキーの「白痴」の主人公、ムイシュキン公爵を思わせる。
イノセントの象徴の彼は純愛の実現者でもある。小説は悲劇で映画はコメディであるけれど。

近所にレストラン「ババ・ガンプ」がある。おいしい海老料理の専門店だ。フォレストが相棒ババとの夢をかなえ成功したレストランなのだがそれが現実のお店で体験できるテーマ・レストランだ。楽しくておまけに本当に料理が旨い。


次にフォレストにあった時、私も叫ぶだろう。

Run, Forrest! Run!
月うさぎ

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