月うさぎ

マダム・イン・ニューヨークの月うさぎのレビュー・感想・評価

4.5
欲しいのはーー尊重されること
ありがとう 自分を愛することを教えてくれて

今日は母の日
映画好きな全ての方にお勧めする、愛すべき小品
徹頭徹尾美しい映画です。

夫婦愛や家族、友情や共感や恋心を描くのがメインストーリーですが、
テーマはむしろ「真の多様性」
まず、ジェンダーとは「社会的性差問題」なのです。
男らしさ、女らしさを否定して、自ら属する生物的性を無視する事ではないのです。
この辺が最近の映画では混乱しているようですね。

シャシは裕福で仕事もデキるインテリの夫を持つ、内気で古風な美女です。
料理が得意で娘と息子と義理の母に甲斐甲斐しく尽くす理想的な母親。
インドで暮らしているのですが、家庭内でさえ、英語ができないという理由で娘にコケにされ、夫には上から目線で軽くあしらわれ、劣等感を感じる日々。

「男が料理をすれば芸術で、女が同じことをすれば義務!」
主婦をやった事がある人なら誰もが頷くこの一言、じゃないですか?

そんな彼女がニューヨークで暮らす姉の元へ単身で渡るところから物語は始まります。
姪の結婚式の準備を依頼されたのです。

不安に苛まれながらの一人旅。案の定のトラブル。
言葉の通じない外国で不安と孤独に涙する彼女に心から同情します。
日本語が通じない経験をした事がある人なら誰しも気持ちがわかるはず。
特にここはニューヨークだ🗽
マジにあいつら英語を「普通に」喋ってくるからね。
英語が得意でなければ人間でないとでもいうかごとし

酷く傷つけられたシャシは一念発起し英語教室の扉を開く
そこには多種多様な言語や事情を抱えた各国からきた仲間がいた

とにかくシャシ(シュリデビ)がひたすら美女
豊かな長い黒髪、漆黒の大きな瞳、ホリが深くほっそりした鼻すじと小さめな唇、可愛い表情
女性的曲線美をサリーで隠しているのがまた魅了倍増
衣装もゴージャスで目を見張ります。
姪のラーダもめちゃくちゃキュート🩷

インド映画を観たことがない方にも全く抵抗がないはず。
リズミカルな音楽とダンスも程よく上品
エロシーンは一切ないのにドキドキさせるうまさがある
日常を切り取りながらも美的な表現にハッとする場面が多数

良くも悪くも古風だね。という感想を持つ方もいるでしょう。でもこれが現実的だと思うのです。
英語と言う武器は手に入れたい。
でもそれは戦うためじゃない。
自分に可能性がある事を証明して自分を愛し、自分の愛する人への愛を取り戻すため。

私は先日Disneyの「Wish」を批判しました。
あの映画は強いルッキズム批判、男らしさや女らしさの否定でしたから。
そのアンサーはこの映画です。
シャシは夫に「復讐」し、娘を見返すために強くなったわけではないです。彼女は揺るぎません。女性らしさは弱さではないし、強さというものは相手を包み込む力を持ちます。

誰もが弱みを持っていて、各々が異なります。
「でも心の痛みは誰でも同じ」
これですよね。本当のポリコレはこの「心」で通じ合う事です。
「思いやり」
それに尽きるのではないでしょうか?

フランス人がamourに突っ走りがちなのも、パキスタンの青年がゲイを嫌うのも、ある意味で自然です。でも、それが誰にとっても常識ではない事を知る事から、この映画は丁寧に説明してくれています。なんと教育的なんでしょう!これ、学校で観せればいいのに!

これから結婚する方にもぜひお勧めしたい映画です💒


美人を美人と言ってどこが悪い?!って映画ですよ
シャシ役の女優さんはこの時49歳?若すぎる
この後50歳代で亡くなってしまわれたとか😭

彼女が美しいから、奥ゆかしく純粋だから、誰もが彼女に心を寄せられる。
仲間に愛されても、男性に一目惚れされても、不自然じゃない。
都合よく作ったストーリーじゃん!って不愉快にならない。
アジア人を出す時にこのような美女を「あえて出さない」ハリウッド映画が癪に触るので、皆さんインド映画でアジアンビューティーを愛でましょう。
「RRR」のヒロインも可愛かった🥰

女性だって綺麗な女性は好きなんですよ!
見てくれだけの人造美はごめんだけどね

『マダム・イン・ニューヨーク』原題:English Vinglish は、ダジャレらしいです
月うさぎ

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