Jordgubbe

アメリカン・ビューティーのJordgubbeのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ある平凡と言えば平凡な家庭が、父親が娘の友達に惚れたところから少しずつ歯車が狂い始めて崩壊に繋がっていく、というストーリー。

アメリカン・ビューティーという薔薇が実際にあるそう。
奥さんが庭で育ててたバラと、レスターがアンジェラの妄想する時に出てくるバラは同じなのかな。
何という皮肉。

それ以外にも、印象的な真っ赤がたくさん出てきた。ドアの赤、血の赤…
妻キャロラインがその日に着てたスーツも真っ赤、そしてキャロラインが大雨の中家の前に車を停めて窓を下ろした時、雨で景色がかすむ中、真っ赤なドアだけはっきりとそこにあって。なんかITの赤い風船を思い出した…
そして、ケヴィン・スペイシーが撃たれた後の血の海の赤。
私もリッキーと同じように、その光景をきれいだなと感じてしまった。


まさかあの流れで、レスターを撃ったのが隣の家のお父さんだなんて。
この映画ケヴィン・スペイシーももちろんすごかったけど、クリス・クーパーさんが全部持っていったわ。
息子がゲイ(かもしれない)となって、車庫で筋トレするレスターをそれこそ撃ち殺しに行ったのかと思ったら、自分もゲイで。
今まで強くいることでゲイってことを隠して生きてたんだ…
ってなった直後、やはり自分はゲイでは生きられない、ってなったのかな。
本当の自分は強い自分なんだって。
雨に濡れて泣きながら男にすがるなんてあってはならないんだって。
素晴らしかった…。その辺りのシーンは自分、息してたかな?と思うぐらい見入ってしまった。


最初、というか前半はケヴィン・スペイシーも隣人のリッキーもまぁ気持ち悪い。
そして時間もゆったり流れてるので、"これがアカデミー賞総ナメにした映画?"って疑い始めたけど、レスターが壁にアスパラをぶん投げたぐらいからちょっとずつ面白くなってきた。


ケヴィン・スペイシー演技素晴らしいけど、どうしてもセクハラがちらつく…
アンジェラが初めてと知ってやめたのでまだ良かったけど、あのままだったらほんとに…ご本人はゲイと公表されたけど、それでもね。

リッキー、キャロライン、(娘)と、レスターを殺しそうな雰囲気を醸し出してた人はたくさんいたのにまさかのリッキーパパというところが深かった。
クリス・クーパーさんのあの全身ずぶ濡れで苦しんでてすがるような、でも必死に耐えているような涙をためた目はずっと忘れられないと思う。

色々と奥が深い作品でした。
今日死ぬ、って先に言っておいて展開されたり、オープニングの街並みの映像が最後は逆再生のように移るところとか、リッキーのビデオ越しの映像とか、2回目以降はもっと細部に注目して見ると面白いかも。
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