きーとん

明日への遺言のきーとんのネタバレレビュー・内容・結末

明日への遺言(2007年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

岡田中将自ら「法戦」と名付けたように、徹底した法廷闘争が繰り広げられる映画。

B29の操縦士を処刑したことについての裁判が描かれている。
岡田中将は、
・無差別爆撃は明白な国際法違反(原爆はもっとひどい)
・激しい爆撃の中でも、相手国兵士を適切に取り扱うよう努力したこと。
・そのために、
①軍事施設を攻撃したパイロットを捕えた場合
②軍事施設か無差別爆撃かどうか不明なパイロットを捕えた場合
③明らかに無差別爆撃をしたパイロットを捕えた場合
の3つに区分した。
・そして、
①の場合、捕虜
②の場合、適切な手続きを踏みそれに基づき対処
③処刑
とした。
・斬首は、日本では武士の切腹において行われたように名誉あることとされている。
・指示はすべて私がしたこと。責任は私にある。
と主張した。

昨今の紛争における国際法の事例が注目を浴びたように思うが、国際法についての理解があればより深く見れるのではないかと思った。

国際法は、激しい爆撃等の酷烈な環境下でも、正気を保てるように作られていると思った。

牢獄と法廷の厳しい環境下でも、お経を読み、座禅を組み、部下を労り、励ました姿勢に感銘、史実とは詳細が違うのかもしれないが、こういう事もあったのだと思った。

東京裁判では一方的に日本は有罪とされてしまい悪名高いが、岡田中将が争った裁判は、かなり中立で、こういう裁判もあったのかと思った。それどころか、後半は、検事も裁判官すら助け舟を出す事態、判決後も助命嘆願がおきるなど、こういう事もあったのかと驚いた。

東京裁判でのパール判事は唯一と言っても良い程の良心的存在として有名だが、岡田中将のフェザーストン弁護士も相当頑張ったのだとわかった。

原作、大岡昇平『ながい旅』も読みたい。
きーとん

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