TAK44マグナム

地球外生命体捕獲のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

地球外生命体捕獲(2006年製作の映画)
3.7
それ以上、引っ張らないで〜〜!


「ブレアウィッチ・プロジェクト」で一躍時の人になったB級ホラー監督のエドゥアルド・サンチェスが、「この脚本はすげえから俺様が撮っちゃる!」と言って作った宇宙人を拷問する映画!

いたいけな女子が暴力的な野郎どもに陵辱されて覚醒、暴力には暴力って事で復讐に明け暮れるレイプリベンジものは未だ多く作られているB級映画の人気ジャンルでありますが、宇宙人にアブダクトされた田舎の兄ちゃんたちが宇宙人をとっ捕まえて復讐しようとするアブダクトリベンジ映画は前代未聞なのでは?
そういった意味では確かにオリジナリティがあるような無いような脚本と言えますね。

どこかアメリカの田舎。
とある農場に深夜に不法侵入したデューク、コーディ、オーティスの3人。
彼らの目的は、かつて自分たちを拉致して実験やら何やらを強制した憎っくき宇宙人の捕獲!
まさか上手くいくとは半信半疑でしたが、なんとまぁ、宇宙人を捕まえることに成功してしまいます。
捕まえたは良いけれど、その先を考えていなかったボンクラ3人衆。
一番冷静なデュークの案で、「誰よりも宇宙人に詳しい男」の家に連れてゆく事に。
その男ワイアットは、同じくアブダクトされた過去を持ち、唯一、実験の第一段階をパスした為に現在も宇宙人の観察対象になっているという、現実にいたらトンデモ電波系な御方。
せっかく宇宙人から身を隠しているのに連れてくるとは何事ぞ!ってなわけで困惑するワイアットでしたが後の祭り。
拷問して積年の恨みをはらそうぜと憤るコーディに、「馬鹿な真似やめて農場に戻してこい」と諭すワイアット。
なぜなら、もし宇宙人が死んだら徹底的に復讐されると知っているからです。
因みに、徹底的というのは「全人類抹殺」レベルなんですって!
なんと傍迷惑なことか!
そんなこんなしている中、宇宙人はじっと脱出のチャンスをうかがっていました。
ありとあらゆる手を使ってワイアット達を翻弄する宇宙人!
はたして、人類の運命や如何に・・・?!

全人類の命運が田舎の掘建て小屋で決まるという、これぞB級一直線なバカ映画!
あわよくば泣かせてやろうとまでしてくる中身はどこまでもシリアスですが、笑いながらツッコミを入れまくって楽しむタイプの映画には違いありません。

殺したらやり返されて人類絶滅必至なのに捕まえてきちゃうところからして意味不明ですが、本作最大の魅力は何と言っても宇宙人の野蛮なキャラクターに集約されてといっても過言ではないでしょう。

ちょっとだけグレイタイプになったチュパカブラみたいなその外見からは、およそ高度な文明を誇る知的生命体には見えやしませんし、宇宙船を作れるのに武器も持たずに徒手空拳でゾンビみたいに襲いかかってくるのも動物的すぎます。
ドン・ドーラーの「魔獣星人ナイトビースト」でさえレーザーガン使ってたのに!
なんなら、電柱にオシッコひっかけて縄張りを主張するようなレベルのワイルドぶりに、知性のかけらも感じられずじまい。

そんな名も知らぬ宇宙人ですが、特殊能力を駆使してワイアット達を困らせますよ。
まず、額にある第三の目を使うと人間を自由自在にコントロール出来るのです!
宇宙人は三つ目族だったんですな!

更に、宇宙人に噛まれた人間は身体が徐々に腐ってゆきます。
しかも、その身体に触ると他者にも感染するからタチが悪い。
最後にはドロドロのグチャグチャ!うう、キモい!

そして、宇宙人は体内に発信機を埋め込んであるので、どこにいても仲間に位置を知らせることが出来るのです。
ひとり拉致ったぐらいで大挙して押し寄せてきますからね。
拉致被害者を取り戻せない弱腰の日本政府とは違いますよ!
なんてったって宇宙人ひとりの命の重さが地球人に換算すると70億人相当なわけですから、そりゃ大切です。
どんなことをしても取り戻そうとしてきますよ。
宇宙船で乗りつけて、あとは家を取り囲んで強引に窓ガラス割ったりと、尾崎豊の曲に出てくるヤンキーみたいな連中が盗んだ原チャリでファミリーマートに集合していそうな勢いであります!

それにしても、何より増して興味深いのが宇宙人が何をして遊ぶのかが判明するという驚愕の事実!
宇宙人の知られざる日常生活の一端が垣間見えるようで驚きを隠せません。
脱出に成功した宇宙人が、まるで拘束されたストレスを晴らすかのように、真っ先に興じたのはなんと「綱引き」!
適当な綱が見つからなかったからか、それとも怒りの現れなのか、オーティスの腹をかっさばいて、中の小腸を引きずり出しての綱引き開始!
「引っ張らないでくれ〜」と情けない声をだすオーティスを無視して容赦なく綱を引く宇宙人!
そう、彼にとっては小腸は引くべき綱なのです!

そんなブラッディな綱引きが一番の見せ場という安っぽい映画ではありますが、出し惜しみなく宇宙人の締まったケツを見せてくれるなどサービスは良好ですし、こんがり丸焼きなオチも非常にイカしておりますので、普段から宇宙人に興味津々な矢追純一みたいな方になら、根拠のない自信をもってオススメできる安心のバカ映画であります。

でも、夜な夜な、宇宙人は農場で何やってるんでしょうね?
と言うか、全人類を絶滅させられる力を持っているのに何十年も田舎に引きこもっているってどういう意図が?
しかも全裸であっち行ったりこっち行ったり・・・
う〜む、このままだと何やらヘンな想像しちゃいそうなので、このレビューは強制終了されま

・・・ピーーー・・・・・



DVDにて