TAK44マグナム

ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

1.8
釈由美子が海外初進出をはたしたパンデミックホラー。
何となく海外作品に日本の俳優さんが挑戦していると応援はしたくなるし、ホラーということで一抹の不安はあったものの劇場へ馳せ参じました。
で、結論から言うと、これ以上ないぐらい立派な地雷作品でしたよ、こんちくしょうめ!(苦笑)


あるホテルで突如として謎の感染症によるパンデミックが発生、廊下は呻き声が響き渡るばかりになる。
DV気味の夫とうまくいっていないヴァルは家族旅行で滞在していたが、実は幼い娘を連れて逃げ出そうとしていた。
しかし夫が発症、錯乱して襲いかかって来る。
階段で待たせている娘と合流した彼女は、はたして地獄と化したホテルから脱出できるのであろうか・・・?!


釈由美子は日本人の妊婦という設定で、準主演。出番も多いです。
本作のファーストカットは釈由美子だったりします。
演技は安定感があって、海外作品だから特にどうとかは感じられませんでした。
どちらかというと電話で話す母親役がわざとらしい話し方で気になりました。
釈由美子の役も夫から逃げてきたという設定なので、主人公と合わせて何か意味があるのかと思いきや、そんな事もなく・・・
この映画はそういう思わせぶりばかりであんまり中身が無いのが最大の欠点の様な気がします(汗)
釈由美子も発症するまでそれなりの尺を割いて人物像を描いたり、発症後も延々と廊下を這ってゆく姿が映し出されるのですが、その割に呆気なく退場となってしまうし、結局なんだったの?と思いましたよ。
釈由美子に罪はないし、彼女は全力でスタッフの要求に応えたのでしょうけれど、正直いってこの役は可哀想。
既に海外進出第二作が撮了しているらしいのでそちらに期待ですね(汗)

釈由美子がそんななので、それなら主役の方はどうなのかと言うと、これも全くどうでも良いというか、15分ぐらいの短編なら成立するけれど80分の長丁場には適さないほど内容が薄っぺらなんですよね。
ホラーオムニバスの一編だったなら・・と思いましたが、それでもちょっと面白くはならないような気がしちゃいます。
なにしろ親子が四階だか五階あたりから一階へ降りるだけのお話ですから(苦笑)
何故か何の説明も解決もなく心霊現象が起きたりしますが、本当によく分からないまんま終わります。
最後の最後に、現在のコロナ禍でも実しやかに囁かれている陰謀論がどうやら根底にあるような説明が強引に入りますが(製作時は新型コロナ前だったらしいです)誰もがその頃にはもう心底どうでもよくなっていると想像に難くありません。
一応、下に降りたら◯◯だった・・というオチがつきますけれど、それこそ「世にも奇妙な物語」でようやく採用されるかどうか分からないレベルの作品で苦笑いするほかありませんでした。
廊下で死にそうになっている感染者たちが完全にモブで誰だかも分からないので感情移入もへったくれもないし、少しだけ気のふれた感染者が襲いかかってくる描写はあるものの別にゾンビというわけではなく、苦しんでいる病人を怪物視するのにも少し閉口。
パニック状態とはいえ自分のことしか考えていないように見える主人公に全く共感できないのも辛かったです。 


釈由美子が自前で衣装を用意しなければならないぐらい低予算の作品みたいですが、予算が無いなら無いなりにもっとアイデアあふれる作品にしないといかんでしょう。
釈由美子の瀕死演技以外はまるで見どころの無い凡作で非常に残念でした(涙)


劇場(イオンシネマ海老名)にて