HAYATO

タレンタイム〜優しい歌のHAYATOのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
3.9
2024年139本目
アジア映画の未来として期待されながら、2009年に51歳の若さで亡くなったマレーシアの女性監督・ヤスミン・アフマドの最高傑作
音楽コンクール“タレンタイム” (マレーシア英語=学生の芸能コンテストのこと)が開催されるとある高校で、ピアノの上手な女子学生・ムルーは、耳の聞こえないマヘシュと恋に落ちる。二胡を演奏する優等生・カーホウは、成績優秀で歌もギターも上手な転校生・ハフィズに成績トップの座を奪われ、わだかまりを感じている。マヘシュの叔父に起きる悲劇や、ムルーとの交際に強く反対するマヘシュの母、闘病を続けるハフィズの母…。民族や宗教の違いによる葛藤も抱えながら、彼らはいよいよコンクール当日を迎える。
マレーシア映画は初めて見た。マレーシアは、マレー系、中国系、インド系など、様々な民族が暮らす多民族国家。本作においても登場人物は多様なバックグラウンドを持っており、マレー語、タミル語、英語、中国語など複数の言語が入り乱れる。
マヘシュとムルー、カーホウとハフィズ。宗教や文化の違い、家族の反対など、様々な困難に直面する彼らの葛藤と成長が美しい音楽に乗せて表現されていた。マレーシアの人気アーティストであるピート・テオが作曲した“I Go”、“Angel”、“Just One Boy”の音色は非常に美しい。
ヤスミン・アフマド監督が最も影響を受けたのはチャーリー・チャップリンで、オール・タイム・ベストは『街の灯』。その理由を「人生には、とても楽しい瞬間のそばにいつも悲劇が隣り合っているという私の考え方が『街の灯』に通じているからと語っている。人生の悲しみと喜び、そして耳が不自由なマヘシュとムルーの恋愛模様を描いているところは、『街の灯』の影響を感じさせた。
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