つるつるの壺

マッチ工場の少女のつるつるの壺のネタバレレビュー・内容・結末

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

とにかく粗雑に扱われる主人公が不憫。テレビばかり見て働かない、家事もしない母と継父に代わって家事をやり、労働で得た給料も渡す。バーで出会った男と一夜を過ごして妊娠した挙句に捨てられ、事故って流産。見舞いに来た継父は家から出て行けと言ってオレンジを置いて去って行く。自分でオレンジを剥いて食べる姿が不憫。誰も自分にオレンジを剥いてくれるような人はいないのだ。そんな辛酸をなめ続けた女性が殺鼠剤入りドリンクで全員殺す。良い話だ。

不憫な人生を送りながらも、休日にはダンスホールで音楽を聴いたりバーで一杯やったりする彼女の細々とした息抜きを見せることでキャラクターに愛着が湧いてくる。そういうところがカウリスマキ作品の好きなところ。

今まで観たカウリスマキの映画では出会った男女はクライマックスでここではないどこかを求めて一緒に旅立って行ったが、今回は警察に連れて行かれてしまった。

何故マッチ工場を選んだのか考えてみるに、火を付けたら捨てられるマッチというものに主人公を象徴させているのだろうか?知らんけど。