日常の所作や礼節に始まり古き良き日本の日常を忠実に描いた作品。その中で家族の悲哀や老夫婦と子供達の関係性の変化から当時の生活風景や時代背景がよく分かる。
戦後間もない当時の時代背景なのか、あるいは監督の志向なのかはわからないが死生観が独特。悲壮感があまりなく、家族が死に対して身近にあるもの、淡々とごく自然に受け入れているさまを感じる。
その一方で風景の様子や時間の変化を描いて映像の世界観で同じ風景でも心情を表現している事も感じ取れた。
役者の演技が抑えめなので不自然な様子が微塵も感じられない。原節子の時折憂いを帯びて少しの間視線を外す演技、言葉遣いがとても素晴らしかった。