浅野公喜

テラー博士の恐怖の浅野公喜のレビュー・感想・評価

テラー博士の恐怖(1964年製作の映画)
3.7
Youtubeの映画チャンネル、Flick Vaultで鑑賞可能な(ただし字幕表示にタイムラグ有り)ハマー・プロのライバル的映画製作会社アミカス・プロ産のオムニバスホラー。主演はピーター・カッシングにクリストファー・リー、更にキーファー・サザーランドの父ドナルド・サザーランドと豪華。

列車に乗り合わせた乗客の男性達にピーター演じる謎の老人がタロット占いで彼らの未来を占うストーリーで、それぞれ狼人間と殺人植物が登場する第1話と第2話はまあまあといった所で、ブードゥー教の儀式を覗きそこで演奏される音楽を母国に持ち帰り演奏するとライブハウスに風が吹きすさぶ第3話も地味ですが白人の文化的搾取に対する批判と捉えればちょっと興味深いかも。

クリストファー演じるいけ好かない美術評論家が自分を茶化した画家の腕を車で轢き画家生命を絶たせたことで片手につきまとわれる第4話は60年代にしてゆっくり動く片手のビジュアルが強烈で、焼いたり箱に詰めて池に捨てても追いかけてくるしつこさが面白く、ドナルド演じる医者が妻が吸血鬼だと別の医者から言われる第5話は今観ると学芸会レベルのコウモリの動きが笑えますが吸血鬼の正体はなるほど、と思えるものでこの第4・5話が出色の出来と言えそうです。

これらの話が終わると列車はある駅に辿り着くのですが、そこで読んだ新聞で分かる真実と男の正体もベタながらホラーとしては見事なエンディング。
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