TAK44マグナム

F/X2 イリュージョンの逆転のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.6
愛と勇気とSFX!
Eじゃないよ、Fだよ!

特殊効果のスペシャリストが活躍するサスペンス・スリラー「FX/引き裂かれたトリック」の続編。
ブライアン・ブラウンとブライアン・デネヒーは続投ですが監督はリチャード・フランクリンに交代しました。
この監督さん、ヒッチコッチの再来みたいに言われたらしいんですけれど、本作が巻き込まれ型サスペンスだから白羽の矢がたったんでしょうかね。
確かに小気味よい演出が好感もてました。


前作から五年後。
映画の特殊効果マンを引退して悠々自適な生活をおくっていたロニー・タイラーは、恋人キムの元夫である警察官マイクの頼みで、ある殺人犯を逮捕するためのトリックを仕掛ける。
しかし、計画がうまくいったと思ったのも束の間、マイクが何者かによって殺されてしまう。
事件の裏にキナ臭いものを感じたタイラーであったが、自身もまた殺し屋に命を狙われ、旧知のマッカーシーに助けを求める。
いまは私立探偵となっているマッカーシーは、警官時代のツテを頼りに事件の核心へと迫る。
一方、タイラーは、キムとその息子クリスと共に殺し屋に追われていた。
はたして、マイクは何故殺されなければならなかったのか?
事件の裏側には意外な事実が隠されていたのだが・・・・・


SFXを利用して悪党を懲らしめるというコンセプトは映画ならではのものだと言えますね。
前作と比べて、今回は完全にタイラーとマッカーシーのバディもののスタイルをとっており、より軽妙になって面白さが三割ぐらい増した印象です。
序盤に出てくる殺人鬼に狙われる女性が個人的に大変好みだったのに、マイクが殺された後は出てこなかったのが残念でした。

五年の月日か予算が増えたか、劇中使われる特殊効果の類もハイテク化されて、冒頭に登場するターミネーターの出来損ないみたいな殺人ロボットや、遠隔操作用スーツを着てコントロールするピエロ人形が登場。ピエロ人形は何かと言うと大活躍しますよ。
その割に、クライマックスでのタイラーは、ウインナーをばら撒いたり、ビリヤードの球をポーンと飛ばしたしたりと、セコいトリックばかり使うんですよね〜(苦笑)

悪党が矮小なのは相変わらず。あまり敵が強大すぎるとタイラーたちが立ち向かうには説得力がなくなってしまうからかもしれませんが、警察官やマフィアのくせして脇が甘すぎですな。
ミケランジェロが遺したお宝が関わってくるというから壮大な規模の事件かと思いきや、実際はご近所レベルの範疇で終わってしまうのもスケール感が90年代のテレビドラマっぽい(実際、テレビシリーズ化されたので元々そのぐらいのスケールが合っていたのでしょうが・・・)。

でも、スーパーマーケットの場面で「冒険野郎マグガイバー」よろしく周囲にあるモノを使って殺し屋と渡り合うのは観ていて楽しかったです。
プロの殺し屋のくせして素人のタイラーに翻弄されすぎですけれど、これも「舐めてた相手が最強だった」ってやつですか(苦笑)

いかにも90年代のお気楽サスペンスですが、そこそこ痛快でキャッチーだし、暇つぶしには使える一作だと思います。


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