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殺人狂時代のmitakosamaのレビュー・感想・評価

殺人狂時代(1967年製作の映画)
4.1
初見は今は無き浅草東宝オールナイト3〜4回はみてる。
岡本喜八にハズレなし。同年公開の殺しの烙印に似た雰囲気の不条理系サスペンスアクションだが、個人的には今作の方がずっと好き。

主役の冴えない犯罪心理学の大学講師に仲代達也。
天本英夫率いるナチス由来の秘密結社が、人口調節を名目に不要とする人間の抹殺を企んでいる。この組織に仲代が狙われる。

今作の仲代達也はノンビリマイペースのエキセントリックなキャラクター。水虫に悩み亡き母に対する想いが深い不思議キャラだ。演技の幅が広い。

何故か殺し屋に狙われて、その度に何となく返り討ちにする。雑誌記者の団玲子と、車泥棒を部下にして組織に対抗していく。

まず次々襲ってくる殺し屋が皆んな全員弱い(笑)仲代がヒロイックでもないので尚のこと凄く見えない。

団玲子が人質になり奪還の為に敵陣に乗り込み、自衛隊演習の爆弾をかいくぐる。

天本英夫との一騎打ちで精神病院へ。実は仲代の持つダイヤを狙っていたことがわかる。この頃には冒頭からのダサイ主人公がすっから様変わりしてる。今までのマヌケなキャラがフェイクったとわかる。視聴者をも騙す展開と、それを表現した仲代の演技力に改めて感嘆する。
アバンギャルドな構図の数々も見どころだ。

本当に面白い。岡本喜八の最高傑作の一つ。
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