イチロヲ

この子の七つのお祝にのイチロヲのレビュー・感想・評価

この子の七つのお祝に(1982年製作の映画)
3.0
自己流を貫いているルポライター(杉浦直樹)が、婦女暴行殺人事件の真相を探ろうとする。斉藤澪の同名小説を映像化している、ミステリー・ドラマ。

まさに謎解きドラマの教科書的な内容。ジグソーパズルの断片が合わさっていくような感覚がとても気持ち良い。中盤から主人公が根津甚八へとバトンタッチする展開も、意表をつかれる。

しかしながら、演者の台詞回しが不自然に説明口調になり、説明に次ぐ説明により、物語が進展していくところが気に掛かる。取って付けたように台詞で喋らせるのではなく、映画的手法で伏線回収してくれたほうが、カタルシスが増すのだが。

増村保造による「自律神経失調演出」が、総じてネガティブな方向へと働いているような印象。飛び散った鮮血の上に市松人形を配したイメージショットが超絶カッコいいだけに、本編との落差にガッカリさせられる。
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