こたつむり

バーク アンド ヘアのこたつむりのレビュー・感想・評価

バーク アンド ヘア(2010年製作の映画)
2.5
♪ 今 お前が身代わりになるなら
  今 それでも生きると決めたなら 

激動の2020年も残りわずか。
ある占星術師は「今年は生き残ることだけを考えろ」と仰っていましたが…まさしく、そんな年だったと思います。有名人の訃報も多かったですよね。

だから、年末は笑って過ごしたい。
そんな気持ちでコメディ映画をチョイスしたのですが…うーん。これをコメディと捉えるのは…少し無理がありました…。正直なところ、ほとんど笑えませんでした。

舞台は19世紀のエディンバラ。
解剖用の検体が売れると耳にして、実際に人を殺した男たちの物語。実話を元にしているのですが…この設定をコメディにするのは強引じゃないですかね。

勿論、100年以上前の話。
現代の価値観で捉えるのは「軽挙妄動」と批判されても仕方がないとは思います。でも…受け入れるのは…やはり厳しいなあ。

百歩譲ってブラックコメディだとしても。
後味が悪いだけで、自嘲の笑みすら浮かびませぬ。しかも中途半端に牧歌的な雰囲気が薄気味悪いのです。それは血が滴る包丁を持ったぬいぐるみが笑っているかのよう。ホラーですよ。

それに主人公の二人も微妙な限り。
特にアンディ・サーキスが演じた《ヘア》は、かなりのクズ。「吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ…!自分の利益だけのために利用する事だ…」とブチャラティの兄貴も仰っていたように、奴こそ“真の邪悪”だと思います。

ちなみに仕上げたのはジョン・ランディス監督。完全に僕とは相性が悪いのでしょうね。『ブルース・ブラザース』や『サボテン・ブラザーズ』も評判ほど面白いとは思えませんでしたし。うん。これは仕方ないな。

まあ、そんなわけで。
死体が尊ばれ、喜々として切り刻まれた時代を“人類史の一頁”と捉えれば…笑えるかもしれない作品。盛り沢山のグロい場面もアカデミックに受け止めれば…楽しめるのかな?
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