歩葉戸路素

タイム・トラベラーズの歩葉戸路素のネタバレレビュー・内容・結末

タイム・トラベラーズ(1964年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「なっ…なんだぁぁぁぁ!?!?この結末!!!」
ビックリなどんでん返しに初見驚いた
60年代のレトロSF映画

「時空を映す窓」を発明した科学者たち
昨日や2日前の自分達を映して大歓喜していたのだが…研究室に何か異変を感じた彼ら
その後、バグで80万年後の未来が一瞬映ったあと
気にも止めず未来回線を使い100年後の荒廃した未来を目撃する!どうやら100年後の地球は核兵器で文明は滅亡しておりミュータントの大群が蔓延る地獄と化していた!

時空を映す窓は見るだけじゃなく実際に別時間を行き来できる発明品なので
色々あって現代に帰れなくなる科学者だが
悲壮に暮れたり戦犯探しとか一切せず、未来を満喫する情緒の欠落っぷりが本当に面白くて嫌味がないのが好き
実は未来世界には人類の生き残りがいて彼らはゴム製のヘンテコなロボットを量産し働かせていた!
そのロボットのデザインが奇特すぎてインパクト強いし、ハリボテ丸わかりな特撮がかえって不気味さを出していて悪夢のよう

人類が破滅した終末世界なのに全く絶望感を見せず
むしろロボットに興味津々でいじくり回したり、寒いアメリカンジョーク連発したり、未来人の美女と良い関係になったり…
このメリケン科学者たちのポジティブさを我々日本人も見習わないといけない…

でも結末は…
意外に次ぐ意外な超展開!
未来人がミュータントの襲撃で呆気なく皆殺しにされ、残った(現代から来た)科学者たちは突貫で「時空を映す窓2号機」を製作
2号機で間一髪現代に帰還する科学者たちだが…
そこは全てが静止した世界だった!
タイムトラベルする直前の静止した主人公たちと鉢合わせするのだが、よく見ると地味に動いていて「未来から来た我々と時間の流れが違うんだ!」と解析
(多分だけど即席で作った2号機に欠陥があって時間の流れがおかしくなったんだど考察)
超スローで時間が流れる世界なので「なんとか脱出しなければ…!」となり
「そういやあの時、1号機の窓がバグって80万年後の時代が映ったよな!そこへ行くぞ!」となり
窓から80万年後の世界へ行き
ハッピーエンド…!??という末路

その後、時が動き出した現代の科学者が冒頭と全く同じ台詞と共に100年後の世界へ行き、再び現代に戻ってきて80万年後の世界へ行き…また現代の科学者が100年後に行き現代に帰ってきて80万年後に行き…また現代の科学者が…
という時間の無限ループが続きフィルムが壊れてTHE END

映画自体が無限ループに陥るという前代未聞な結末(笑)
初見時ポカーンだった…
実は最初から時間旅行者が研究室に潜んでいる伏線や、ラストでループが完成する物語の構成が独創的でぶっ飛んでいて強烈なインパクト!
異色な珍作だとは思うのだが個人的には60年代SFでトップクラスだと思う
こういうのが見たかったんだよ!的な映画
イブ・メルキオール氏は他にも異色SFを多数製作していて鬼才な方だったり…!
おもしれーSF作家www
歩葉戸路素

歩葉戸路素