TAK44マグナム

近未来戦争/オメガ帝国の崩壊のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

2.3
誰もが見たことのある近未来!


「エクスタミネーター」の、世界一弱そうなアクションスター!ロバート・ギンティ主演、悪の独裁者役に「ハロウィン」シリーズにばかり出まくって亡くなったドナルド・プレザンス。
「マッドマックス」シリーズを1億倍薄めたSFアクションでして、80年代のレンタルビデオ常連さんでしたね〜。


時は近未来、核戦争後(←またかよ!)。
秩序が崩壊し荒廃しきった大地で、生き延びた人々は覇権を競って
戦いを繰り広げていた(←だから、またかよ!)
最大勢力は、独裁者プロッサーによって統治される全体主義国家であり、オメガ帝国と呼ばれていた。
まあ、「華氏451」や「リベリオン」みたいな世界観なわけ。

主人公は流れ者のライダー。
カタコトで喋る人工知能が搭載されたハイテクバイクを駆って、ゴロツキどもの攻撃から身を守りつつあての無い旅を続けています。
素性や過去は何の説明もなく、最後まで「お前は結局、どこの誰なんだよ?!」といったそのキャラクターは、別に知りたくもならない謎。
作品の雰囲気と同様に、マックス・ロカタンスキーの劣化コピーである彼は何か困ったことがあると、全て人工知能に「頼む」とお任せしてしまう、お気楽な事この上ないボンクラだったりします。

今日も、ヒャッハーな集団に襲われて半べソ状態で逃げていると、突然、眼前にあらわれた岩壁に激突!
なんと、開始10分で主人公が死亡!かと思って焦っていたら、なんだか麻原彰晃みたいな格好をした怪しいオヤジの超能力によって傷を治してもらうライダー。
どうやらオヤジたちは反オメガ帝国を掲げる「新しい道」というレジスタンス組織らしく、リーダーの「教授」が捕まったために救出してほしいと頼んできます。
「面倒くさいからヤダよ」と断るライダーに、オヤジたちは告げます。
「君は賢者によって選ばれた戦士なのだ」
うわ!やっぱり怪しい詐欺組織っぽい!
それでも断ると、教授の娘が股間に銃をつけつけ、「大事なチンコをBBQにしてやる」と脅かしてきたので、しぶしぶ承知するライダー。
格好悪いぞ・・・・。

秘密の洞窟を行くライダーと娘。
クモやらヘビやら、ついでにゾンビみたいなミュータントまで住んでる洞窟をぬけると、いとも簡単に帝国へ侵入成功!
セキュリティも何もあったものじゃありません。

で、帝国では使えなくなった労働者を変な装置にかけてビリビリした上、火炎放射器で焼却してました!
処刑を見物中のライダーに憤りはあまり無い・・・本当に正義の主人公なのか?
そうこうしているうちに、いよいよ教授が処刑される番に!
なんやかんやあって教授を助け出し、ライダー達はヘリを奪って逃走します。

荒野の真ん中に人々が集まり、マッチョマンやアマゾネス、軍人くずれ共がどつき合っているところへライダーと教授の姿が。
どうやら覇権を争うバトルロイヤルが開催されているみたいです。
教授は、ライダーも加わるように促します。
またもや渋るライダーを無理やり参戦させる教授。
まったく強そうには見えないライダー(ギンティ)でしたが、そこは映画なので脚本通りにライダーがヘロヘロになりながらも勝ち残ります。
すると間髪入れずに、「私の戦士が勝った!争うのはよして協力し合うのだ!みんなでオメガ帝国を倒そう!」と、拳を突き出し、ひとりおいしいところを持ってゆく教授。
すると、それまで殴り合っていた連中が、おおーっ!!と立ち上がります。どうやら近未来の人々は単純みたいです。

帝国から奪ったパトカー(トゲトゲ仕様なのも、いつもの如く)やバイクも加え、総勢20名ぐらいの軍団が革命戦争を開始!
ヘリもビュンビュン飛んで、ここだけは「メガフォース」のポスターみたいで異常にかっこいい絵面なのですが、これぐらいの戦力で倒せるオメガ帝国なら最初から皆で倒せばいいじゃないと言いたくなります(苦笑)。

兎にも角にも、バイクの武器が火を噴き、マッチョマンのカンフーが炸裂して、もろくもオメガ帝国は邦題にもある通り崩壊します。
独裁者もライダーの銃弾に倒れ、万々歳!
色とりどりの風船が乱れ飛ぶ解放パーティが開かれ、マッチョマンたちがわーい!わーい!と子供のようにはしゃぎ、みんなで合唱!
そんな裏で、心底どうでもいい「どんでん返し」があり、ライダーは真実を知らぬまま旅立ってゆくのでした。

正義のライダーは、いまいずこ?・・・とテロップが出ますが、そんなの知ったこっちゃないよ!

気の抜けた光線銃のような銃声や、「キスしろ」やら「そんな壁あった?」などと頭の悪い会話しかできない人工知能など、どうにも塩っぱすぎるディティールが哀しいですが、バイクのスピード感や西部警察ばりの爆発は中々の迫力!

深夜に間違ってテレビ放送されていたりしたらレコーダーに録画して、いっそのこと観ないまんまひっそりと忘れてしまうことをオススメしておきます。おちまい。