たか

不思議惑星キン・ザ・ザのたかのレビュー・感想・評価

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
4.0
意味のない表現が面白いものだと思ったが愚かであった。すべての行動と言動(思考)に意味があり、無駄なものが無いにも関わらず自然体で見れる映画だった。

差別主義、権力にまつわる信用を大いに発揮した内容であり、異星で扱われる言語体系もオリジナリティがあり面白い。受動的に思考を読み取り会話するのは自分に必要な情報を得るだけの無駄のない会話を成立させている、キューという暴言は逆説的に罵倒を伝えられる唯一の手段であり、悪意の文化は必ず必要なのだろう。

そういうことを伝えたいのだろうが、こんなにももどかしいストーリーがあるだろうか。だが分からないこともない。マシコフの行動には苛立ちが募るが、頼れる父のような時には後先考えず意見を主張することの体制に対する民の尊厳を感じたからだ。
ゲテバンもなんでそんなことして信用をなくすんだと思うが、そうでもしなければ生きられない異星での生活への順応の速さを感じさせた。なんとも悲しいことか。
ただ素晴らしいのはお互いの信頼は確実なもので二人の仲は確固たるもので、自分たちを苦しめる異星の民に何度も呆れようと見捨てることはしない。特異な正義心が最後まで映画を観させてくれた。これはいちばん大事なことである。

シーンに現れる機械や装飾も異質な作りで不安をイメージさせ、瞬間転移による一瞬のシーンの移り変わりは視聴者も同じ気分になったことだろう。画が素晴らしかった。

基本ユーモアに溢れる内容でありながら、ハートフルな面も垣間見えるシーンが一瞬挟まるところも最高だ。
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