青二歳

ポルノグラフィア 本当に美しい少女の青二歳のレビュー・感想・評価

3.7
これを“エロティック”の棚に置くTSUTAYAさん…実は中身観ないで分類してるでしょ…これナチ占領下ポーランドの疎開先での物語で強いて言えば文芸作品なのに“エロティック”はないだろ。エロ要素も無いわけではないが分類した人は絶対本編観てない。

都会から疎開してきた芸術家のおっさん二人…なれない田舎暮らしの中…田舎らしい旧弊な社会に“イタズラ”を仕掛ける。
性の目覚めの渦中にある年頃の娘は野鄙だが美しい。彼女には年上の許嫁があるという。おっさん二人は悪趣味にも、下男(といっても近所の子で通い)の美青年との恋をそそのかす。これは芸術的な試みだとうそぶきながら。
村で人格者と称えられる厳格なカトリックのおばあちゃんは、都会の男にとってはなんとも鬱陶しいご様子。またほぼアル中の奥さんや、おっさんを口説いてくるご近所の少女もあるが、なんとも退廃的な空気に満ちている。
おっさん二人それぞれの諦観に満ちた視線…特にお調子乗りのおっさんのどこか投げやりな…何故か苛立っている突拍子も無い言動と、田舎らしい閉塞感が重なってゆく。

不思議なんですが…欧州の映画においてファシズムの支配する空気は、退廃的なエロティシズムを孕んだものとして描写されることが多い。日本映画には無い表象。(“戦争と性”の映画は洋の東西を問わずありますけど)
青二歳

青二歳