青二歳

みにくいあひるの子の青二歳のレビュー・感想・評価

みにくいあひるの子(1931年製作の映画)
3.3
これはいいですね。アンデルセン“みにくいアヒルの子”を悲劇にしなかったディズニーはえらい。というかアメリカらしい。
危機的状況を脱したみにくいアヒルは「長じて美しくなって見返す」のではなく、彼自身の英雄的行動によって母に認められる。
みにくいアヒルが不遇をかこつのは醜いからであり、かつ他と異なるから。そして不遇から脱するのは美しく成長するからであり、同じ種の共同体に移り仲間たちに受け入れられるから。要はまず“見た目”。さらに別の見方をするなら、あるべき場所でないとどう足掻いても受け入れられない、一方あるべき場所にいれば必ず受け入れられるという…身もふたもないお話。ゾーニングという解決方法が有効という話なら納得なのだけれど。

いじめられていたり、不遇を強いられ、ここでない何処かを望む者には夢のあるお話かもしれないが、白鳥の群れに出会うまで彼を受け入れてくれる場所は何処にも無かった。そう見ればなかなかシビアなお話です。でも、この1931年版ディズニーは違う。
彼は自身の英雄的行動によって、今いる場所であるがままに受け入れられる。自分で自分の居場所を勝ち取る訳です。いやはや随分前向きな話に変換したものです。

ちなみに31年版はモノクロです。アカデミー賞とった39年版はカラーの方。画像違うんでないか?
オーソドックスな“みにくいアヒルの子”では学研のパペットアニメーション('70)も美しくて好きです。https://filmarks.com/movies/28713
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