青二歳

イーハトーブ幻想~KENjIの春の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

テレビ岩手制作の宮沢賢治自伝アニメーション。宮沢賢治ファン必見。
「ほほほーい」「ほー!」
「人間はひとつの分子たちのお祭りなのです」
共感覚の持ち主だったという賢治の感性や詩作のイメージをアニメでなんとか表現しようと頑張っていて、これが中々いい。
94年版“グスコーブドリ”と同じく精神世界というか、抽象的というか…シャーマニズムと言ってもいいほど、宇宙的世界の躍動をいかに表現するかの試みは面白い。

カナイとの交感がどうにもBL風味…なのが気になるな。「我が保阪嘉内、我が保阪嘉内、我を棄てるな」とまで執着した友人なので仕方ないか。当時のインテリ学生には珍しいことでもなし。
主に宮沢賢治の青年時代を描いているので、とにかく青臭さが目立つが、それがまた彼らしくて良い。賢治といえば、日蓮宗系の運動に傾倒したり、しかもそれ以降も左翼運動にまで同情的だったり、農業芸術を興そうと農業に従事するも実家の財産をアテにしてたり、なんとも若さ故の弱さというか理想主義というか、ある種の頼りなさが作品に見えたりする。本作は賢治のそうした危うさがよく伺えて、なんともニマニマしてしまった。
とはいえ、これは人柄に迫る自伝映画ではなく、彼の作品からインスピレーションを得たイメージを如何に落とし込むかが見どころのファンタジックアニメーション。実写映画ではなし得ないアニメーションの可能性を感じたい。

佐野史郎の「ニャア」は我慢できず吹き出してしまう。
青二歳

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