T太郎

フライド・グリーン・トマトのT太郎のレビュー・感想・評価

4.3
1019
久しぶりに鑑賞
実にいい映画だ。
やや長尺だが、全く退屈する事なく観終えた。
また観たいと思える映画だ。

物語の舞台はアメリカ南部、アラバマ州の小さな町である。
アラバマと言えば、グレゴリー・ペック主演の「アラバマ物語」を想起する方もおられるだろう。
黒人差別という面で、ある意味象徴的な州と言える。

この作品にも差別問題が描かれており、KKKも登場する。
主題ではないが、そういう一面もある作品なのだ。

かように重いテーマをはらんでおり、悲しい場面もあるのだが、全体としては爽やかな感動を味わえる良質の人間ドラマである。
コメディ場面もあり、非常に気持ちのいい作品だと言えよう。

主要な登場人物は4人の女性だ。
イブリン(キャシー・ベイツ)
ニニー(ジェシカ・ダンディー)
イジー(メアリー・スチュアート・マスターソン)
ルース(メアリー・ルイーズ・パーカー)

物語は現在(多分90年代)と過去(2、30年代)を変わりべんたんに描いていくという、お馴染みの手法である。

現在パートの主人公はイブリンとニニーだ。
イブリンは専業主婦だが、鬱屈した日々を送っている。
毎日同じ事の繰り返し。
夫はイブリンに無関心。
なんともやるせないのだ。
やるせない事、山の如しなのである。

そんなイブリンが、ある老人ホームでニニーという老婦人と出会う。
かなりお年を召しているのだが、快活でおしゃべり好きな女性だ。

ニニーはイブリンに昔語りを聞かせる。
過去パートのイジーとルースの物語だ。

この過去パートが非常にいい!
第一次世界大戦直後、イジーの少女時代から物語は始まるのだ。

イジーは非常におきゃんで野性的な魅力を放つ女の子だ。
唯一、長兄のバディ(クリス・オドネル)にだけ心を許している。

このバディが非常にいい奴なのだ。
ハンサムで快活で好感度抜群。
絵に描いたような好青年なのである。
お世辞抜きで、まるで私を見ているようなのだ。
(うるさい)

バディはルースに恋をしており、ルースもバディを憎からず想っていた。

そんなある日、バディが不慮の事故で亡くなってしまう。
イジーとルースの目の前で。
ショックのあまり心を閉ざしてしまうイジー。

だが、そのイジーを救ったのが、他ならぬルースだったのである。
やがて二人は無二の親友となっていく。

二人が親密になっていく過程が面白い。
気ままで野生児のイジーに必死で食らいついていくルース。
徐々にルースを受け入れていくイジー。
実にいい感じなのである。

しかし、現在パートのニニーは冒頭、非常に不穏な話をイブリンにしている。
フランクという男を殺害したとして、イジーが逮捕されたというのだ。

この話が小骨のように引っかかりながら、私たちは物語を追っていく事になるわけである。
一体全体どういう事なのか。

やがてルースが結婚する。
お相手はフランクという男だ。

なぬ?
フランクだ・・と?

イジーはルースの夫を殺めてしまうのか?
一体全体どのような事情があったのだ。
にわかには信じられないではないか。

このフランクという男。
実は酷いDV男なのである。
ルースは身重でありながら、青たんができるほど殴られたり、階段から突き落とされたりするのだ。
全くもって見下げ果てた男なのである。

だから、殺されて当然という訳ではないが、まあそんな男だ。
お世辞抜きで、私とは正反対の唾棄すべき人間だと言えよう。

イジーとルースの友情の物語とともに、このフランク殺しの謎も大きな主題の一つなのである。

もちろん、イブリンとニニー側にもドラマがある。
こちらも全く退屈する事はない。
コメディ場面は、この現在パートの方が多いのだ。

「ミザリー」でチビるほど恐ろしい女を演じたキャシー・ベイツが、一転気のいい普通の主婦を演じている。
そのあまりの高低差に私は耳がキーンとなった次第である。

メアリー・スチュアート・マスターソンとは久しぶりの再会だ。
私の好きな女優さんである。
切ない恋愛映画にご出演していたという印象が深い。

メアリーという女性には、なぜか京都銀行のように長~い名前の方が多いような気がする。

メアリー・スチュアート・マスターソン
メアリー・ルイーズ・パーカーはもちろん、
メアリー・スティンバーゲン
メアリー・エリザベス・マストラントニオ
などなど。
君は寿限無か!
というほど長~い名前が多いのである。
(おおげさ)

他にも多数おられると思うが、とっさには思い出せない。
あとはおのおの各自で調べて、私に教えていただきたい。
(こらこら)
T太郎

T太郎