緑青

タイガー・コネクションの緑青のレビュー・感想・評価

タイガー・コネクション(1990年製作の映画)
3.9
ユエン・ウーピン監督ドニー・イェン主演作品が観たくてなんとなく選んだら、私の中の絶妙な好きラインにやたら刺さってきて最高の一本だった。アクションが好きで、かつこの手の脚本が嫌いじゃない人は大満足だと思う。
ドニーさんがとにかく若く、若さからくる華奢さが残っており、アクションがめちゃくちゃ綺麗で激しいのに、闘いとしてはどこか際どく見えて見応えがあり大変良かった。路上の食堂で乱闘したり、リヤカーで階段を爆走したり、走る二階建てバスの中で戦ったり、手を縛られながら殴り合ったり、拷問されたり、日本刀が出てきたり、銃撃戦があったり、全部みっちり詰まっていてハラハラワクワクさせられる。一方でストーリーはわりとシリアスな出来で、ときどき笑えるシーンや優しいシーンがあるせいで心をほぐされて、ラスト近くの展開に思わずグッときてしまう。キャラクター造形もよかった。ドニーさん演じる龍が気絶しやすい体質なのかやたら気を失っている印象があったのはさておき、すぐカットなる性格で抜群にフィジカルが強くて頭もキレて本当は情に厚いんだけどちょっと子どもっぽくて不器用なためになにもかも思う通りにはならないみたいな、そういうキャラクターの手触りや奥行きがしっかり描かれていて、演技しやすかっただろうなと思った。ディスコでお酒飲んでるシーンすごく良かったよね。エモ…てふつうに思ってしまった。私は片想いする人間たちに弱いので…………。あとそこで『男たちの挽歌』パロが唐突に出てきてテンションぶち上がりました(個人的思い入れ)。ラストの展開も良いぞ。

ところでクライム・キーパーの主人公の女性の刑事さんがまた刑事役で出てくるので一瞬世界線が混乱します。この刑事もまたいい仕事をします……。

マネーロンダリングに巻き込まれた元刑事・弁護士・組織に身を捧げるマフィア、身内からの裏切りにあい追い詰められるなかで発生する三者のもつれた友情関係とかいう結構美味しい要素が、90分の中で着実に形成され、最後まで走ってくれるので大変に私好みでした。円盤買いました。特典見るのも今から楽しみです。
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