イチロヲ

花と蛇のイチロヲのレビュー・感想・評価

花と蛇(2003年製作の映画)
3.5
資産家(石橋蓮司)の寵愛を受けているダンサー(杉本彩)が、地下クラブの舞台上でSM調教プレイを強要されてしまう。団鬼六の同名小説を東映が映像化している、エロティック・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

日活ロマンポルノ版と重複したプロットだが、性倒錯の物語というよりも、ほとんど猟奇犯罪劇の様相を呈している。後半部に展開するSMショーも、本物の殺人行為ありのグロテスク・ショーと化している。

杉本彩の役作りは申し分のないレベル。ヘアヌードを露わにしながら、凌辱プレイを体当たりで演じている。とりわけ、花魁姿での緊縛行為と高手小手での馬上引き回しに目を奪われる。伝説の緊縛女優、早乙女宏美がアドバイザーを務めているところも醍醐味。

責め手が喧嘩腰のオラオラ系であり、暴力でねじ伏せるパターンになっているが、「主人もまた隷属者に隷属している」というSM倒錯の法則が、きちんと踏襲されている。サドマゾの様式美を踏まえたドラマ展開が、我が意を得たり。
イチロヲ

イチロヲ