絶縁状態から…
“関係性の再構築を描く”のがやはり、
吉田恵輔監督作品の醍醐味だなと。
最近、初期作を見返しているけど、
世界観が変わっても、
登場人物同士の関係性の描き方は
一貫している印象を受ける。
絶縁状態で
まさかの再会を果たすパターンが多く、
スタート時点で
ドロドロな人間関係模様が
前面に出てくる。
しかし、その分、
映画の後半になればなるほど、
無垢な感情・瞬間を
受け入れる場面が
印象的に切り取られていく。
『麦子さんと』の場合は、
自分を捨てたも同然の母親と
娘の関係性における
再生物語。
どう絡んでいいか
分からないまま、
病気持ちの母親は亡くなり、
空白がより膨らんでしまう。
その後、遺骨をおさめるため、
母の地元に帰省。
そのタイミングで
母の親友だった人物とも
仲を深める。
このアクションが、
娘が、母親との関係性を
見つめ直す
意味合いにも繋がっていく。
主人公は母親に対し、
自分の本当の気持ちを
伝えられなかった葛藤が。
同じような人物像の
キャラクターに対し、
率直な言葉をぶつける事で、
向き合う構成になっている。
若干、演出上、
誇張しすぎな場面も見受けられるが、
関係性を見つめ直すという
人 対 人の価値観がぶつかる
画作りとパワフルさに惹きつけられる。
