lilill

グランド・ブダペスト・ホテルのlilillのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしい。
まず、絵として全てのシーンが美しすぎる。
小津安二郎に影響を受けていそうな、直線的シンメトリーなフレーム構図が本当に何度も使われている。
パステルな色味を多用した、絵本のような鮮やかな世界に、ミニチュアを使ったオモチャじみた得意な表現(ひょっこりひょうたん島みたいな良い違和感を感じる)で、さすが個展開かれるだけある。
それだけ、表現技法という点で文脈から逸脱した素晴らしいルール外しを行っている。
ホイップ気味のドリーズームを駆使したコミカルなカメラワークも、シリアスな脚本に負けない本作が持つ「御伽」の雰囲気に加担している。
天才だ。
また、先代オーナーのグスタフとロビーボーイのゼロとの、人種・立場・性格・年齢を超越した熱い友情はめちゃくちゃ良いし、夫人の遺産(特に少年と林檎)めぐる親族と執事の戦いも、「御伽」のなかで残虐な殺し方が描かれる、冷酷な戯画的雰囲気で心地よい。

「哀れなるものたち」とかどちゃくそ影響受けてそうだね。

ただ、「意図された美」という点は否めない、必要性に準じているか否かは難しい。
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