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アンダーウェア・アフェアのcoroのレビュー・感想・評価

アンダーウェア・アフェア(2010年製作の映画)
3.6
ひとりが好きなのにひとりになれる場所もなく隙があればお風呂場でひとりきりを過ごす。でもそんなに長くはいられない。
そんな雑多で生活感溢れる古くて狭苦しい団地の部屋も、パステルカラーで統一されたセンスの良い雑貨やクロスや斜光線をほんのひと握り装い、アーティスティックな空間に仕上げてしまう美術と映像に視覚的に引き込まれていく。
ベランダに大量に並べられた洗濯ものでさえ不思議の国の入り口みたいになっていて、その先には彼女の唯一の秘密が待っている。(やがてその秘密も刹那に消えゆくけれど)

彼女の解放されることのない心(道徳的観念)が身につける赤が印象的。初めて非日常へと足を踏み入れた日につくられた、思春期の大きな秘密でありトラウマでもある太ももの傷(境界線)をきっかけに、制服の下に赤いブラをこっそり纏ったりしながら大人になっていく。
大人になってからは、赤いペディキュアやランジェリーなど小さな秘密を解放してはいるが、いまだに越えられない(敢えて越えない)秘密の場所を徘徊している。

こうして彼女はいつか幸せに気づいて、ひとりきりの秘密も解放して、あるべき姿に戻っていくんだろうなぁ、なんて思う。
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