トップアスリートからポーカールームの経営者へと転身した実在の女性モリー・ブルームの激動の半生を描いた物語。
説明は簡潔で無駄がなく、台詞は歯切れがよく箇条書きのように構造化された怒涛のオープニングシークエンス。台詞に合わせたカット割りは細かすぎて若干脳が揺れるけど何とか一緒に滑っていけた(笑)
以下ネタバレになるかも
ポーカー・ゲームという退廃的で怪しい夜の世界に身をおく彼女に、常にまとわりついていた不穏が剥きだしになるシーンは余りにも生々しすぎて心に傷が残るほど。それでも彼女は二転三転する人生を知的に読み解きながら、人生を輝かせるために前へと進む。この物語にどこまでの脚色が施されているのかは知らないけれど、もしそれが本当のような嘘だったとしても全部許してあげる。
彼女の少女時代からのトラウマが解消する父親(ケビン・コスナーの存在感)との3分間のセラピーが印象的で、登っている最中には見えなかった景色をゆっくりと眺めながら降りていくふたりの姿に涙。
気を失い続けていた記憶が解けたあと、微かに聞こえてくる父親の声と観客の声にまた涙。