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X-MEN:フューチャー&パストのうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

X-MEN:フューチャー&パスト(2014年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

時系列上は『ウルヴァリン:SAMURAI』の後で、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』の続編。
未来、センチネルと呼ばれるロボット部隊がミュータント狩りを行い、戦争状態になっていた。それに対抗するX-MENは、センチネルが設計されるきっかけが作られた1973年——エグゼビアとエリックが決別して10年後(『ファースト・ジェネレーション』)、ウルヴァリンにアダマンチウムが埋め込まれる6年前(『ウルヴァリン』)——にウルヴァリンの精神を時間移動させ、歴史の改変を試みる。
時系列では『3』、『SAMURAI』の次に当たるが、若き二人がメインになるという意味では『ファースト・ジェネレーション』からも地続きの物語になっている。

元々X-MENシリーズ自体が過去にミュータントが確認されて分岐したパラレルものだが、8mmを使って世界が初めてミュータントを確認した映像を流す「今この瞬間に知らない歴史に切り替わる」演出はSFとしてはありがちながら面白いし、それ自体が本作の過去改変という内容とも相似になっている。
歴史ネタを扱うスパイ映画的な楽しさは『ファースト・ジェネレーション』のようだが、初期監督のブライアン・シンガーということもありファンタジー的な味付けの方が大きい。

アクションは少なめで、クライマックスは主人公のはずのウルヴァリンがほぼ出番なし。(『ファースト』の後編として)エグゼビアとエリックに焦点を当てたストーリーなので当然とはいえ、存在意義が薄い。
未来世界(現在)でのセンチネルとX-MENの最終戦争はかなりCGチックで、初期三部作のような単純な能力の押し合いと正面突破の綱引きなので特に面白くはない。
「X-MENや過去に介入して身動きの取れないウルヴァリンが殺される前に未来を改変できるのか!?」のスリルのために眼前にセンチネルが迫る展開が過去のクライマックスと同期してクロスカッティングで描かれるが、成功するに決まっているので盛り上がれない。
新キャラのクイックシルバーの高速移動はよかったが、スポット的な出演に留まった。

プロフェッサーが『ウルヴァリン』ラストで歩けた理由やキュアの開発時期、『ファースト・ジェネレーション』〜『X-メン』でブラザーフッドが二人だけだった理由など、凸凹していた矛盾を直すのはよかった(後の監督に付け足されたものを初期監督が拭うというのもおかしな話だが)。