Omizu

フットノートのOmizuのレビュー・感想・評価

フットノート(2011年製作の映画)
3.6
【第84回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート】
『ボーフォート レバノンからの撤退』ヨセフ・シダー監督のイスラエル映画。カンヌ映画祭コンペに出品され脚本賞を受賞、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。

面白かった。学術界の端くれとして身につまされる描写が多く、個人的になかなかヘヴィーな作品だった。

文献学者であるエリエゼル、彼の息子ウリエルの父子関係をブラックユーモアたっぷりに描いている。

学術界の権威であるイスラエル賞をめぐる物語と言ってもいい。その賞のことはあまり知らないが、意外とこういうことってある気がする。ここまで露骨に妨害、嫌がらせが日本にもあるかは知らないが、学術界の一員としてみるとけっこう派閥とかあるんですよね。あの施設は〇大卒じゃないと就職できないよ、とか聞いたことある。

感動作と言うほど分かりやすい面白さがあるわけではない。むしろ専門用語がたくさん出てきて馴染みがないと分かりにくいだろう。とはいえ物語自体はシンプルなのであまり考えすぎずに観るのが正解。

父子の関係を描いたダークコメディという感じかな。お互いを想っていないわけではないが噛み合わないその関係性が面白い。アカデミー外国語映画賞候補作にしては地味な小品だが、一定の人には非常に刺さるものがあるのではないだろうか。
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