イチロヲ

火星の女 /夢野久作の少女地獄のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
校長による強姦被害を受けた少女(小川亜佐美)が、同性愛関係にある恋人(飛鳥裕子)と結託して、その復讐を果たそうとする。夢野久作・著「少女地獄」をベースに取り上げている、日活ロマンポルノ。筆者は原作を読了済み。

原作は「火星人」というあだ名を付けられたイジメられっ子の少女が、単独でスパイ活動を繰り広げるという内容。レズ相手の少女は端役でしかなく、性描写も接吻ぐらいしか登場しないのだが、本作では成人映画ならではのアレンジが施されている。

残念なのは「火星さんが弱者視点の辛苦を味わっていること」「同性の恋人を神様のように崇めていること」の2点が弱いところ。自らの内向的な性格が仇となり、校長の「淋しい老人の心」を過度に汲み取ったことへの無念さも、伝わってこない。

とはいえども、校長を窮地に追い込んでいくまでの怪奇描写が白眉となっており、珍味的な味わいを楽しむことはできる。飛鳥裕子のナンチャッテ女子高生ぶりも素晴らしく、マニアックな性的嗜好を掻き立てられる。
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