イチロヲ

不倫日記 濡れたままもう一度のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
自己の作家性を高めようとしている小説家志望の若妻(葉月螢)が、夫(伊藤猛)の承諾を得たうえで不倫行為を働いていく。クリエイターの暴走状態を題材に取っている、新東宝配給のピンク映画。国映製作。別題「奥様はゆうれい」。

"自身の実体験を作品に反映させる"作家脳について語っているドラマ。愛欲が蠢く混沌の世界を経験することにより、クリエイト精神を高次へと引き上げようとするヒロインが、作品賞の選考委員を務めるベテラン小説家(佐野和宏)を誘惑していく。

中盤部に入ると、過激な首絞めプレイによりヒロインが死亡してしまい、「奥様はゆうれい」が本格的に動き出す。死後にこの世の混沌を目の当たりにするという、ブラック・ユーモアへと転調するところが面白い。

霊体化したヒロインに心情を聞かせるために、独り言を喋ってしまうところが滑稽だが、独特のセンチメンタリズムは損なわれていない。この世とあの世の橋渡し描写も良好であり、別次元にいる夫婦が引き寄せ合う展開に、目頭が熱くなってくる。
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