安藤エヌ

バービーの安藤エヌのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.8
監督のファンなので、最初に監督がバービーを映画化すると聞いたとき、「彼女のことだからただのエンタメじゃなく必ずメッセージ性を入れてくるだろう」と思って楽しみにしていた。残念ながら本国プロモのせいで悪印象がついてしまったが、作品に罪はなくしっかりこの目で観たかったため少し遅くはなってしまったが観れて良かった。
ケンがアイデンティティを見失いマッチョイズムに傾倒していくも、最終的に自己認識を取り戻す展開が予想外かつ斬新で面白かった。マイノリティ表象を担ったキャラクター(ヘンテコバービー)、ジェンダー概念に囚われないキャラクター(アラン)なども存在感を放っていたし、フェミニズム、ホモソーシャル社会への気づきも盛り込んでいて、何度か見返して考えを深めたくなる作品だった。

セルライトのできる不完全な肉体を抱いて生きるすべての人間を肯定する力を持った映画。
安藤エヌ

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