記録
手術で両足を失った主人公は、やがて暗黒街のボスになり、恐るべき計画を立てる。この映画のオチはちょっと何とも言えないが、主演のL・チェイニーの顔が強面で悪党を徹底して演じきっている。原題も邦題も中々センスがいい。

1920年代に公開した異色なギャング映画で、この時代にこういう映画があったとは知らなかった。

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すぐに脳の手術してやれば良かったじゃんかよー医者野郎～～(涙)

素朴な科学信仰。アジトのギミックが楽しい。暗黒街の帝王のわりに子どもっぽいロン・チェイニーのキャラが良い。脚に障害のある悪のボスて設定は『スピオーネ』に影響したりしてるのか？

元祖「オペラ座の怪人」(1925）で有名なロン・チェイニーの初期傑作。原題は「The Penalty」。

小児の時に受けた手術によってブリザード(ロン・チェイニー)は両足を失った。27年後、彼の望みは彼を不具にした医者に復讐すること、サンフランシスコ暗黒界の大頭目となること、他人の両足を切って自分の足の切り口につなぐこと、以上の3つであった。いかにして彼がこれを企てるのか。。。

衝撃的な映画だった。設定も物凄いが、この役を演じ切るチェイニーに驚いた。まるで日常から膝下が無い生活を送っているかのように松葉杖を使ってヒョイヒョイ歩くのだ。まずはその姿に目を奪われ映画に引き込まれていく。そして身体だけではなく心の屈折も伝わってくる怪演で、帽子工場の女性の髪を掴んで怒りまくるシーンには鬼気を感じた。悪魔の彫刻モデル、意外な秘密部屋、テロ作戦の妄想など設定も美術も意外性に富み、それぞれの布石が残らず回収されるのも良い。シナリオ的には終盤に甘さもあるが、狂気による行動と受け取れてしまう映画としての強さも感じられた。

個人的好みの詰まった大傑作。恐るべしロン・チェイニー! 新年冒頭に発見できて良かった。他作品も追いかけてみようと思う。

※ウォーレス・ワースリー監督は、トッド・ブラウニング監督に次いでチェイニー主演作を多く手がけた（主に初期）。