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ゴジラvsコングのべるのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

ゴジラとキングコングには因縁がある。
最初は昭和37年(1962年)。
東宝映画の作品として公開されたゴジラシリーズ三作目にあたる「キングコング対ゴジラ」で、本格的な「~対ゴジラ」「ゴジラ対~」はここから始まったと言っていい(前作でもアンギラスと戦ってるけど表題は「ゴジラの逆襲」なので)。
昭和45年生まれの僕はリバイバルでこの映画を見たのだが、子供ながらの正直な感想は「中途半端」だった。
第二次世界大戦から20年も経っていない時代に、アメリカ代表の怪獣と戦うのだ。なんとしてでもゴジラがコングをフルボッコにして鬱憤を晴らして欲しいと全ての日本人が思っていたはずだが、結果は引き分け(二匹同時に海に落ちて、ゴジラは行方不明、コングは泳いで島に帰る)。前述のようにゴジラの圧勝も、アメリカに忖度してコングが勝つでもない、中途半端に空気を読んで引き分けた。
それから60年が経った(2021年)。
今度はアメリカがコングとゴジラを戦わせるという。
キングコングはアメリカを代表する人気怪獣で、4年前には「髑髏島の巨神」という傑作で主役を張った(観た。面白かった)。
ゴジラもまた60年間で世界に通じる怪獣であるという人気と実力を見せつけ、国内でも30本のシリーズを重ねた上にハリウッドデビューも果たしている。
そんな二匹を戦わせようというのだから、猪木対馬場か、辰吉対タイソンか、グレイシー対陸奥圓明流かってくらい(個人的には)盛り上がった。
それが、だ。
クライマックス、ボロボロになるまで戦うゴジラとコングの前に、悪の科学者がつくったメカゴジラが立ちはだかり…?ん?まさか…?
ゴジラとコングの共闘なんて見たくなかった。最後までお互いの肉を食いちぎりながら戦い合う相手であってほしかった。
誰の誰に対する忖度なんだ。ラストシーンでコングを一瞥し、振り返って海に帰っていくゴジラを観て心から残念な気持ちになりました。
範馬勇次郎なら「まだ始まったばかりか」っていうところやぞ。

思い返せば「三大怪獣地球最大の決戦(1964)」。
宇宙怪獣キングギドラの侵略に際し、ゴジラはモスラ、ラドンと共闘します。
子どもの頃の僕はこの辺りから怪獣映画を見ていたので何とも思いませんでしたが、先人のゴジラファンはこの時に今の僕のような気持を味わったのではないかと思いました。

結局ゴジラ映画は「唯一にして最大最強の悪の怪獣」→「ライバル怪獣との死闘」→「さらなる強敵のために共闘」→「第一作をリメイク」のループから逃げ出さないとブレイクスルーはないのではないか、と思います。
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