イチロヲ

カルテル・ランドのイチロヲのレビュー・感想・評価

カルテル・ランド(2015年製作の映画)
3.5
メキシコの自警団に潜入取材を敢行している、ドキュメンタリー作品。「カルテル」は、独占的利益を得ようとする企業形態を示す言葉であり、本作では麻薬組織とのイタチごっこがメインに展開される。

絶対的正義であるはずの自警団が「暴力には暴力を」の法則により、組織内部で新たなカルテルを誕生させてしまう。善悪が混交する群像模様が、まさに現実のものとして起こっていることを、まざまざと見せつけられる。

自警団同様に、治安維持のためのメキシコ政府機関もまた、癒着と圧力によりズタボロ状態に陥っている。不穏分子を徹底的に消し去ろうとする精神が、ひいては恐怖政治を生み出し、一般市民の不安感を煽ってしまう。

「負の連鎖を絶ち切ることは可能なのだろうか?」という普遍的テーマを汲み取ることが可能であり、不条理と混沌が蠢くショッキング映像の連発により、頭がクラクラしてくる。プロレス好きからすると、ルチャ・リブレの興行との関係性が気になる。
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