イチロヲ

濡れた壷のイチロヲのレビュー・感想・評価

濡れた壷(1976年製作の映画)
4.0
放蕩者の母親(藤ひろ子)を反面教師にしているスナックのママ(谷ナオミ)が、マネキン工場の経営者(井上博一)により性的欲情を覚醒させられる。ストイックな女性の性観念を描いている、日活ロマンポルノ。

主人公の父親が戦争を原体験にしている右翼思想家であり、不能に陥っているところがキーポイント。ほとんどタチンボ同然の母親にも、それなりの理由があり、やるせないほどの悲哀が織り込まれている。

谷ナオミの悶え芸では、風呂場にて人生初のディルドを手にするシーン、マネキンを愛撫する行為に呼応して疼きを見せるシーンが絶品。とりわけ、マネキンの腕パーツのみを目前にしただけで、ジュクジュクの腰砕けになるシーンが最高にエロい。

主人公は「着飾っている自分」ではなく、「着飾っていない自分」を愛されたいと思っている人物と捉えることが可能。性生活が一番充実しているのが、スナックで働いている若い同性カップル(水乃麻希&立花りえ)という部分にも、感慨深いものがある。
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