このレビューはネタバレを含みます
これは良すぎる。。
時間は短いのに、悲しかったり苦しかったり、ちょっと心が温かくなったりで、心をギュッと掴まれる作品。
ストリートチルドレンのブランカは男の子にも大人にもいつも強気で、お金に執着していて、って見えるけど実はお金よりお母さんからのハグがほしいだけで。他の人の母と子が仲良くしてる姿を見る時のブランカの表情が何とも言えない。
諦めたような、軽蔑するような、悲しいような顔なんだけど、どこか羨ましい気持ちも入ってる顔。
そしてブランカが(最初の)家を壊された後、ベンチに座って流す涙がきれいすぎてあのシーンは言葉が出なかった。
でも、ブランカが言った
「子供を買う大人はいるのに子供が大人を買っちゃいけないの?」
を聞いた私はピーターと同じ。何も言えない。
この映画は重くしようと思えばひたすらに暗く重くなってしまうようなことも、(良くも悪くも)さらっと出てきて、さらっと過ぎていくのでそれがある意味では救いだった。
何と言ってもピーターが良い!
生活は決して楽じゃないはずなのに、心の余裕というか、他の人への愛に溢れてて、ニカッと笑う笑顔も素敵。それに、纏ってる優しい雰囲気は演技で出せるものじゃないよなぁと思ってたらほんとに役者さんとかじゃなくてギター弾きのピーターという実在の人だった。
でも戦争のテレビを見て言った、
「目の見えない人間ばかりなら戦争は起こらない。見えるものにこだわりすぎだな。」は心理すぎた。
見えてる人よりよっぽど色んなことが見えてるなと思った。
それにしても、大人たち…
ピーターからお金とった警察も、トラックの運転手も、バーの下っぱみたいな人も、ブランカを売りつけようとするおばさんも…
なんでみんなして弱いものいじめを⁇
しかもブランカは2回も無実の罪で疑われて、酷い目に遭わされて…
でもそれがリアルな世界でも現実なんだろうな。
本当に無実でも、言い分に耳を傾けてくれることなく、いつも盗みを働いてるんだからお前がやったんだろって疑われる…
正直何と言っていいか分からない。
人は見た目で判断しちゃいけない?
生きるためだからしょうがない?
どれもそうだけど、100%そうだとは言い切れないと思う。。
そんな中で、街のドラァグクイーン?のお姉さんの優しさが良い。
盲目のピーターに募金してくれる人たちはもちろん偉い。でも、お姉さんみたいに時間かかるけどお金にならないことで助けられるのは本当にすごいと思う。
自分だったらどうだろう。
大人に負けず劣らず、子どもたちも色んな子がいた。親に大切にされている子もいれば、ブランカの家を壊す子、ピーターのお金をからかいながら盗む子、孤児院の子たち…そしてラウルとセバスチャン。
みんな抱えてるものが違って、何とも言えない気持ちになった。
ブランカとセバスチャンが遊んでるシーンでだけ、2人が純粋に子どもらしい目をしてた。
最後、捕まったブランカを助ける時、セバスチャンにはピーターを呼ばずに自分で扉を開けてブランカを助けて2人で逃げる、という選択肢もあったはず。
それでも、ピーターを連れてきて助けようとしたのは、ラウルを捨てきれなかったからなんじゃないかな?
それに、血が繋がってなくても兄貴と慕うラウルの気持ちも、分かってたんだと思う。
ラウルの中に迷いがあることも、セバスチャンはきっと気づいてた。
あのシーンはうるっときた………
セバスチャンは床に倒されて、どんな思いで去ってくブランカを見てたんだろう…
最後、ピーターのそばでタバコを売るセバスチャンを見れてホッとなった。
本当に、盗みから足を洗えたんだね。
セバスチャンならきっと、ちゃんと生きていけるよ。(ここまでなんとか持ちこたえていた涙腺がここで崩壊)
ニコッと(ニカッと)笑うブランカとピーター。
何も、本当に何も解決してなくてまたスタートに戻っただけなんだけど、それがいかに幸せかというのが痛いぐらい伝わってきた。
お互いがそばにいるだけで、それが幸せなんだなって。
絆というのは、血も年齢も関係ないんだって2人が証明してくれた。
"鶏は昔飛べた"がまさか伏線で、後できれいに回収されるとは思わずに、びっくり。
ほんとに鶏が飛んでピーターのところまでメッセージを届けに行くのか!?と一瞬期待したけどそこはやはりファンタジーじゃないので、セバスチャンが走って来たけど。笑
あの奇跡だ!のおばさん好きだわ〜
映画のポスターに線路があったから、列車に乗ってギター弾く旅に出る映画…?と勝手に想像してたら電車1ミリも出てこなかった。(移動もバスだったよね?)
じゃあなんでポスターに線路…??
って、そこだけが謎なまま。
良き映画でした。
ピーター見たさにまた見たい!!