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海は燃えている イタリア最南端の小さな島のKUBOのレビュー・感想・評価

3.8
海は燃えている

地中海に浮かぶイタリアとリビア、チュニジアの間に位置する「ランペドゥーサ島」。

この島はヨーロッパを目指す難民たちの玄関口。多くの難民たちが、1つのボロ船に100人も200人も乗り込んでランペドゥーサ島を目指す。

作品では、この難民船を助ける仕事をしている人たちと、この島で暮らす子供の生活のそれぞれを交互に映し出す。

難民船の中にひしめく人たちは、何層にも詰め込まれて、脱水症状で息も絶え絶えの者もいれば、洋上で既に息絶えている者もいる。

救助にあたる人たちは、それが日常であるかのように、衰弱した人たちを助け、亡くなった人たちをボディバッグに詰める。

この20年間に40万人の移民がランペドゥーサ島に上陸し、また15000人の難民がシチリア海峡で溺死したと言う。

作品には一切音楽もナレーションもなし。ジャンフランコ・ロージ監督は、見たそのままを記録し、観客にも見たそのままを感じてほしいのだろう。

余計な感情を煽るような演出は全くないが、子供の生活と並行して淡々と提示されることで、難民たちの命懸けの航海や失われていく命をもこの島の現実であるとより一層感じさせられて重い。
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