イチロヲ

新・団地妻 売春グループ13号館のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
夫が滞在するドイツへの出発を控えている夫人(珠瑠美)が、団地妻をターゲットにした売春斡旋業者(丹古母鬼馬二)の毒牙に掛けられてしまう。地獄の一丁目に落とされた団地妻の奮闘ぶりを描いている、日活ロマンポルノ。

主人公夫人を横恋慕する義弟(影山英俊)の言動が、すべての原因となっている。「てめーのせいじゃん!」と言いたくなってくるが、夫とはまるで異なる、「若くて情熱的な求愛行動に根負けした夫人の悲劇」とも捉えられるので、そこは推して知るべし。

本作の見どころは、丹古母鬼馬二の怪気炎に集約されている。夫人に接近してくるときの気持ち悪さから、夫人を手篭めに取ってからの貪り尽くし具合まで。もう何もかもがサイコー。チョイ役ながら、妻役で芹明香が出演しているところも嬉しい。

「女を売り物にする側・される側」の凌ぎの削り合いがエモーショナルに描かれており、彼らのジタバタ劇が滑稽譚のようになっている。単純ながら印象に残る作品。
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