改めて、確かになかなか長い。
とはいえこのドロドロとしてダラダラとした冗長さが人間の人生のどうしようもなさなのだろう。
富岡が口にするように二人の仲は明らかに伊香保で尽きている。
にも関わらず離れない、いや離れられない二人。その幸か不幸かの運命は戦後の荒んだ時代ではより残酷に映る。
富岡とくっついたとてとてどう見ても幸せになれるわけでもないのに依存、執着するゆき子。
結果として精神的にやられ自分を破滅させるわけである。
森雅之ならではでもあるが、こんなニヒルで妙な色気のある男がモテるのは世の常。
女には困らないからこそ、ゆき子にも曖昧な態度を続ける。まあ大概女も女なのもだが。
それだけにラストは一層やるせないものである。
成瀬の冷酷な視座は一方で頽廃的な美に似たものを見せる。