あかっか

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのあかっかのレビュー・感想・評価

4.0
2024_013

『聖なる鹿』は誰だ?


これはホラー?不条理サスペンス?人間ドラマ?
とにかく面白いし鑑賞後の胸糞の悪さが堪らない。
耐性がある方にのみ激オススメです。
鑑賞前にタイトルの意味、ギリシャ神話、『アウリスのイピゲネイア』について少しだけでも情報を入れておくとかなり良いです。

以下ネタバレあり

冒頭から心臓を鷲掴みに来る。ここで観客を一気に画面に集中させる。そして印象的なのが独特なカメラワーク。全てが意味あり気に見えて常に興味を惹かれる。その上で美しいのが凄い。更に不気味な音楽で感情を揺さぶる。

謎が謎を呼ぶ展開。果たしてこれは何を見せられているのかという不安が登場人物家族の不安とシンクロしてくる。

そして『聖なる鹿』殺しの話の本質に迫る。救う者と生贄の関係性。生贄に選ばれないよう救う者(救える者)に媚びる様。他人を蹴落としてでも生き残ろうとする人間の業が顔を出す。それぞれの行動原理を理解するとより恐ろしさが増す。

家族と言えど他人なのか、それとも自らを犠牲にしてでも守りたいものなのか。誰が選び、誰を選ぶのか。恐らく正しい答えなどないのだろう。ラストシーンのその先を想像し、胸が苦しくなった。

ヨルゴス・ランティモス監督、バリー・キョーガンの両者が怖すぎるのでしばらく悪夢を見そうです。
あかっか

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