Laura

マグダラのマリアのLauraのレビュー・感想・評価

マグダラのマリア(2018年製作の映画)
3.0
マグダラのマリアは一部の福音書ではイエスの復活の最初の目撃者とされているのだが、女性であったゆえにその地位はなかなか認められず、591年グレゴリウス教皇によって娼婦だったという「設定」まで与えられるに至った。一方「イエスの教えに目覚めた罪深き(美)女」としてのイメージは、むしろ文学や美術のほうで花開いた…という歴史的経緯がある。近年の映像化ではダ・ヴィンチコードはじめミステリやサスペンスのジャンルでフィーチャーされていたが、本作はマグダラのマリアの視点から生前のイエスの布教活動を捉える。ただマグダラの内面や心理的葛藤に深く入りこむというよりは、当時のユダヤ社会において女性が低い地位に置かれていたこと、そこで信仰に希望を見出すマグダラの姿を描くことに主眼がある。他にも黒人俳優がペテロを演じていたり、フェミニズムはじめ近年の様々な社会運動に迎合的にも見え、なかなかフィクションに集中できない。マグダラと男性使徒たちとの刹那的な心の交流にはリアリティを感じるのだが。抑制的な色調で捉えられた岩山多いエルサレムの風景(ロケ地は知らん)が美しい。
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