キヲシ

怪談お岩の亡霊のキヲシのレビュー・感想・評価

怪談お岩の亡霊(1961年製作の映画)
2.5
人混みの中、ふらふらと彷徨う田宮伊左衛門(若山富三郎)。薬売りの直助(近衛十四郎)にお岩(藤代佳子)について語る、その内容が酷い。というか伊左衛門自身が酷い。始めから死んだ目をしている。お岩の亡霊を見てようやく目が覚める?のか。お岩と妹のお袖(櫻町弘子)、あとはおばさん?おばあさん?以外、碌でもない身勝手な人物ばかり。伊藤家なんて揃ってそうとう酷い。というか自分の欲望に忠実で他者には無頓着なだけなのか。お袖のためと叫び疾走し、まだお預けかと突っ込まれてもヘラヘラ笑い、川で拾ったお岩の形見を追及されて、伊左衛門への雪景色の仇討ちに駆り出される直助。ぶれまくる彼こそが人間らしいのかも。それにしてもお岩と赤ん坊は哀れ。赤ん坊の蚊帳を質草にする件はあんまりだ。脚本も加藤泰。印象的な場面は多いのだが…。
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