青二歳

ちからばしの青二歳のレビュー・感想・評価

ちからばし(1976年製作の映画)
4.1
岡本忠成が描く小泉八雲“梅津忠兵衛”。ナレーションは岸田今日子。岸田今日子の声はどこか現実とも夢ともつかぬあわいの世界を語るのに長けている。
秋田は横手の伝承なので、“おこんじょうるり”のように方言で語るのも良かったであろうが、岸田今日子ならではの魅力がありたいへん結構な仕上がり。彼女は岡本忠成のほか川本喜八郎でもナレーションを担当していて、日本を代表するアニメーターと素晴らしいタッグを組んでいる。
原型については不勉強だが蕪村の妖怪図録では“うぶめの化物”と紹介された怪異譚。梅津忠兵衛という男が大力を授けられる由来のお話。

【おはなし】
男が夜の山道を歩いていると謎の女から赤子を預かってくれと頼まれる。怪しみながらも赤子を抱いた男だったが、橋に差し掛かると突然赤子が重くなる…
どんどん重くなり苦しむ松吉はおののきながら念仏を三度唱える。するとふっと軽くなり腕の中を見れば赤子はいない…

なぜ地獄の表象を入れたんだろうか。また胎児のイメージもよかった。シンプルな産道のイメージだけど妙な生々しさがある。
青二歳

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