夫の束縛からの逃避を企てている夫人（八城夏子）が、行きずりの青年（関川慎二）と一緒に自動車旅行へと出発する。夫人の密やかな家出をロード・ムービー調に描いている、日活ロマンポルノ。
夫が「あいつ、しょうがねーな」程度にしか思っていない家出が、実はハチャメチャ・アドベンチャーだったという物語。同行する青年のゲイ彼氏（鶴岡修）を絡めた、コメディ展開が大きな醍醐味となっている。
後半部、青年が犯罪グループに拉致されると、クライム・サスペンスに転調。青年を拘禁するゲイの中年男（高橋明）が、あくまでも性的マイノリティを庇っている立場であり、犯罪には非協力的であるところが面白い。
新人時代の日向明子がゲイ彼氏の婚約者の役で顔を出しており、堕胎した赤ん坊の骨を持ち歩いている若いカップル（深沢ゆみ＆佐藤昇）のキャラ立ちがキョーレツな印象を残す。そして、夫の情婦（飛鳥裕子）の不穏な微笑みが脳裏に焼き付く。
