イチロヲ

白日夢のイチロヲのレビュー・感想・評価

白日夢(1981年製作の映画)
3.5
歯の治療のため昏睡状態に陥った青年(勝然武美)が、待合室で一目惚れした美しい婦人(愛染恭子)と治療する歯科医(佐藤慶)の性愛関係を夢想する。谷崎潤一郎の戯曲を実写映画化している、エロティック・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

1964年度に同監督が映画化しているため、本作はセルフ・リメイクとなる。大島渚監督「愛のコリーダ」に継いで、日本にてハードコア・ポルノ(本番行為あり)を実現しているところが醍醐味となる。

原作にあった歯科医の不倫要素は省かれており、青年を観客に見立てたグラン・ギニョール(エログロショー)に振り切っている。能楽をイメージの中に取り入れている、エキセントリックな映像作りを楽しむことができる。

肝心の本番ベッド・シーンは、淡々とした正常位の交合を映像に収めているだけなので、(今どきの感性のままで観ると)かなり退屈に感じられる。意図的な演出かどうかはさて置き、他人のセックスは無味乾燥であることを思い知らされる。
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